花はまだ二分咲き

昨日の日曜日は天気は曇り、気温も低くて、2月に舞い戻ったような寒い日だったので、
そろそろシーズンになる磯遊びをあきらめ、大岡川の桜見物を兼ねて散歩に出かけた。

できたら伊勢佐木町の映画館で朝一番の映画を見ようと10時半に家をでたが、開演時間に間に合わず、2回目の上映に合わせて時間つぶしにそこらをうろうろした。
かつて横浜一を誇り歌にも歌われた繁華街であった伊勢佐木町では
由緒ある松坂屋は閉店し老舗も減ってしまったが、
案外に元気で、リサイクルショップや派手なドレスを売る洋品店、パチンコ屋が増えていた。

昔ながらの蛇屋は健在だったし有隣堂書店には立ち読み客があふれていた。
映画は大森一樹監督の「津軽百年食堂」、弘前に百年続く小さな蕎麦屋をめぐる人情話だ。

ちょうど去年、弘前に花見に行ったときにロケシーンに遭遇した、堀端でヒロインがボートに乗って桜の写真をとる場面が出ていた。
この大津波ですっかり姿を変えてしまっただろう大震災前の八戸の蕪島や種差海岸の美しい景色や、
弘前城の本丸から眺めた岩木山の雄姿、公園内の桜のトンネルや弘前の町の風情が懐かしくて涙がでそうになった。
青春を過ごした場所は何物にも代えがたい貴重な財産だ。東京を出て青森に住むことがなかったら全く違った人生を送っていただろうと思うと感慨がひとしおだ。
今年もやっぱり弘前に桜見物に行きたいなあ、と思った。
先週読んだ本:
池澤夏樹「星に降る雪/修道院」:この作家らしい透明感と神秘的で不思議な物語。
伊集院静「少年譜」:この作者は物語を作るが上手、短編集だけれど味わい深い作品群だった。